西宮ライフスキル研究会

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教え子との再会は『ライフスキルプログラム研究』の原点を思いださせてくれました

投稿者:かっしー

 今日は骨折した足の定期健診とリハビリに行きました。9月に骨折してから約3ヶ月、ようやく装具を外す許可を頂きました。しかし、全面的に外すのではなく、仕事中のみ用心のため着用するようにという条件付きですが。

前回の診察からリハビリを始めました。リハビリ室を覗くと、おばあちゃんやおじいちゃんたちが嬉しそうに受けておられるので、さぞかし気持ちが良いのかなと期待して、初めてのリハビリを受けました。ところが、なんと私のリハビリは涙と冷や汗がこぼれ落ちるほどものすごく痛かったのです。「こんな痛いリハビリなんてもう嫌だぁ~」と思ったのですが、診察とセットになっているため今日も受けなければなりませんでした。

「加島さ~ん」と呼ばれ覚悟を決めてリハビリ室に入ると、前回の先生ではなく別の若い男性の先生でした。そして、私の顔を見るなり「あの~。保健の加島先生ですよね。ぼくのこと覚えてませんか?Sです」と声をかけてくれたのです。

顔を見て思い出しました。8年前に卒業した教え子でした。りっぱに成長していました。今、理学療法士になるための実習をしているとのことでした。「いや~。先生のリハビリを担当するなんて緊張しますよ」とはにかむような笑顔を見せてくれました。ゆっくり優しくリハビリをしてくれたのと、私の心も再会の喜びに満ち溢れていたので今回は全く痛みは感じませんでした。そして、8年前にタイムスリップしていきました。

「あの頃、僕、一番しんどかったですよ。加島先生はよく僕のクラスに来て話しをしてくれましたよね」というS君に「そうね。覚えてくれてるんだね。あの時のこと。私もすごく覚えてるよ。つらい思いをした子たち。今、どうしてるのかな?」と尋ねると、みんなそれぞれの場所で元気に頑張っていると教えてくれました。

S君のクラスは学級崩壊状態で一人の男子に対する陰湿ないじめが発覚し、私が教室に出向き命の授業を行った学年でした。誰の授業も成り立ちません。そんな中で教室に出向くには大変な勇気が必要でした。教室に入るとすぐさま「保健の先生が何しに来たん?保健室帰れや」と罵声が飛んできました。それでも命の授業を行いました。女の子たちは涙を流しながら真剣な眼差しで授業を聴こうとしてくれました。しかし、一番聴いてほしかったいじめグループの中心的存在だった男子は窓際にすわり、カーテンをぐるぐる顔に巻きつけ私の話を一切聴こうとしませんでした。その姿を見て私は痛感しました。「問題が起きてからでは遅いんだ。コンクリートのように固まってしまった子どもの心に、いくら水を注ごうとしても、ただ表面を流れ落ちてしまうだけ。水を注ぐのなら子どもたちの心がしなやかなうちでなければならない」と。

結局、いじめられた男子は不登校になり、そのまま山村留学という形で転校していきました。何の解決もできなかった私はただただ無力感とそこまで子どもたちの心を追い詰めた担任への腹立たしさで一杯になりました。

この出来事がきっかけとなり、サイコエデュケーションを実践するため、ライフスキルをプログラム化して授業に取り入れたいと考えるようになったのです。これが私のライフスキルの原点です。この時の思いはいつまでも忘れることはありません。

今月10日。この学年の子どもたちは成人式を迎えます。

S君成人おめでとう。素敵な理学療法士になってください。

そして、いじめにあい転校して行ったT君。元気にしていますか?君が今幸せに生きていることを私は心から願います。君のような辛い思いをする子どもたちを作らないよう私は頑張って行きたいと思っています。

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