一年のうちで保健室が一番来室者でにぎわうのが新学期。
中でも不定愁訴(頭が痛い・お腹が痛い・なんかわからへんけどしんどい)を訴えて来室する児童は4月下旬から5月にかけて多くなる。
クラスが変わり、先生やクラスメートの顔ぶれが変わるとなかなか新しい環境に馴染めない児童が多くいて、進級するたび、保健室に頻繁に顔を見せる常連さんもいる。
そんな不安定な子どもたちに対し効果的なのがキッズオイルを使った“なでなでスキンシップ”子どもたちはこのオイルマッサージが大好きである。
5月のある日のこと。
毎日、頭が痛いと訴えて来る男児児童がいた。
彼の名前はA君。
熱もなく、特に内科的な異常は感じない。
訴えはただ「頭が痛い。しんどい・・・」。そして教室にはいたくない。
もしかして心かな?と感じた私が「A君。先生がA君の両腕に元気のでるマッサージしてあげようか?」と言うと、嬉しそうにうなずき、両腕を前に差し出す。
「今から先生の元気の気をこのオイルにこめます」。と言って、キッズオイルを両手で混ぜ混ぜしながら温め、そのオイルをA君の左腕にスーと馴染ませると「あぁ気持ちいい」。と一言。
左腕・手の甲・指・掌、そして右腕・手の甲・指・掌と優しくマッサージする。
そして、最後に私の両手でA君の手首をキュッと握り、「今から、先生の元気の気をA君に注入します。いい?いくよ」。
心の中で「元気がでますように」と念じながら「注入~!!」と叫ぶ。
すると、A君の顔がパーッと明るくなり「うん元気が出てきた。教室行くわ」。と教室に帰って行った。
不思議なことに、A君はその後一度もしんどさを訴えて保健室へ来ることはない。
心の不安を訴える子どもたちに、これからもいっぱい“なでなで”してあげよう。
だって、子どもは“なでなで”が大好きだから。