西宮ライフスキル研究会

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子から親への贈り物「産んでくれてありがとう」

投稿者:かっしー

『親から子への贈り物〜生まれて来てくれてありがとう〜』

近年、このテーマで講演する機会が増えています。息子をうまく愛せなかった私が、息子が誕生して19年かかってようやく「生まれて来てくれてありがとう」と伝えることが出来たという内容です。先日、丹波市の小学校でもこのテーマで講演をさせて頂きました。その日はいつもは言わないこの言葉で講演を終えました。それは「親から子へ、子から親へ、生まれてきてくれてありがとう。産んでくれてありがとう。そう言い合える親子関係を築けたらいいなと思います。私は、もうすぐ50歳の誕生日を迎えます。その時、初めて母にこの言葉を伝えようと思います」と。

そう。11月5日は私の50歳の誕生日でした。この日、私は母に感謝の気持ちを伝えようと決めていました。今日、私がここに生きていられるのは母がこの世に私を誕生させてくれたお陰なのだと、50年かかってようやく思えるようになったからです。

私は母に愛されずに育ち、母の事が大嫌いでした。田舎で一人暮らしをする母に、様子伺いの電話一本も入れない冷たい娘でした。その母が3月に倒れ、今は一緒に暮らしています。そして、母との間にあった深い大きな溝が少しずつ埋まって行くのを感じるようになりました。

今年の2月。私が胃癌であることがわかり、大腿骨骨折で入院中の母にその事を伝えた時、母は一言「大変なことになった」と私を見つめ涙をこぼしました。

5月。母の住民異動をするため、田舎の家を整理していた時、小さなお菓子箱の中に、私の小学生の時の作文や、人権作文で入賞して載った町の広報誌、大学のとき初めて両親に送った手紙などが納められているのを見つけました。それを手にした時、胸が熱くなり涙があふれました。そして「お母さん。私の事大切に思ってくれてたんだね。ありがとう」自然にその言葉が口からもれました。

6月。以前なら、母と1週間も暮らすとストレスを感じ、イライラを母にぶつけていた私でしたが、これからはここで私が母の面倒をみようと覚悟を決め、母が暮らしやすいように、居室・トイレ・廊下・階段・浴室のリフォームを行いました。母はその事を大変喜んでくれました。

11月。母を引き取り4ヶ月が過ぎました。昔のようにギスギスした母娘関係ではなく、優しく声をかけ、見守れるようになりました。認知症もあり、トンチンカンな会話しかできませんが、いつもニコニコ笑顔の母が愛おしく思えるようになりました。

私が癌になったこと。母が大腿骨骨折で倒れたことは不幸な出来事ではなく、私たち親子の絆を再構築するための幸せな出来事だったのだと思います。

11月5日。母に「今日は何の日でしょう」と尋ねました。母は「???・・・さて、何の日かな」と怪訝そうに私を見つめました。母は娘の誕生日を覚えてはいませんでした。(私は母から一度も誕生日を祝ってもらったことがないので、きっと覚えてはいないだろうと思っていましたが・・・)

「ばあちゃん。今日はね。私の50歳の誕生日だよ。50年前、あなたが私を産んでくれたから、私は今こうして幸せに生きているのです。お母さん。私を産んでくれてありがとう」素直にそう伝えることができました。

母はびっくりしたようでした。そして、私が差し出したケーキを眺めながら「産んでくれてありがとう。と言ってくれる気持ちが嬉しい。これからもよろしくお願いします」と涙をこぼしました。

ここに至るまでに、長い年月がかかりました。決して平坦な道のりではありませんでした。でも、親から子への贈り物「生まれてくれてありがとう」そして、子から親への贈り物「産んでくれてありがとう」そう言い合える親子関係を築いていけたことに心から幸せを感じています。

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