今日、久しぶりに田舎へ帰った。
父の墓参りと月末から検査入院する母を迎えにいくために。
私の田舎は豊岡市の日高町。
近畿自動車道の開通で、西宮から二時間ちょっとあれば帰る事ができるのに足が遠のいてしまっている。
大学進学のため家を出てから25年以上の歳月がながれ、気が付いたらすっかり西宮っ子になっていた。
久しぶりに田舎の穏やかな風景に触れ、美味しい空気や水をカラダの中にいっぱい取り込むと、帰る田舎があるって幸せな事だなって思った。
父の墓参りを終え、ふと振り返ると田んぼのあちらこちらに真っ赤な彼岸花が咲いていた。
子どもの頃、よくこの彼岸花で首飾りを作った。茎を交互に折ると鎖になるのだ。
家に持ち帰ろうとすると「彼岸花は家に持って帰ったら火事になるからだめ」。と言われ、作った首飾りはいつも川にながした。なんでそんな事を信じたのだろう。
傍にいた息子に、「お母さんは子どもの頃こうやって彼岸花でペンダントを作ったんだよ」。そう言って一つ作って見せた。息子が「留守番してる妹に持って帰ってやったら?」と言ったが
「だめ。彼岸花は家に持って帰ると火事になるの」。
ふっと。おかしくなった。そんな迷信を今でも信じてるのだ。
いつもなら川に流す首飾りを
今日はそっと、父のお墓に手向けた。
「お父さん。ここにあなたのお墓がある限り、私の田舎はずっとここにあるんだよね」。
今度はいつになるかわからないけど
また、帰ってくるね。
元気になったお母さんと一緒にね。