「実のなる木をできるだけ丁寧に描いてください」
描いた絵には、対人関係(葉と枝)、内的な強さ(幹)、意識的な精神世界(上部)、無意識の世界(下部)・・・など、500項目にも及ぶ心理的サインが示されているそうです。
ひょうご講座<神戸大学コース>第3回は、名誉教授の播磨俊子先生による樹木画(バウムテスト)と家族画(KFD)でした。
播磨先生は、絵を描かせて、すぐに診断というスタンスではありませんでした。
つかみどころがない内面のわからないことをわかろうとする苦しみ、その内面をわかってしまった苦しみ、これがないと人間は変っていけないのだという考え方で、自分のことをズバリ言ってもらいたいなら占い師の方がいいとおっしゃいました。
だから、わからない苦しさに耐えられる力をつけていくことが必要なことで、そのためにセラピストも共に苦しまなければならない、苦しまないで人を助けることはできないと、力説されていました。
「自信をもって悩んでいく」
なるほど~。
木のチェックポイントが書かれたのプリントをいただきましたが、何だかすっきりしません。自分の描いた絵が、どんな内面を示しているのか、はっきりわからないからです。わからない苦しみの大切さはわかりましたが、何だかなぁ~。
「私の家族という題で絵を描いてください」
家族画です。30年程前から日本でもされるようになりました。初めは、少年鑑別所などで子どもの家族への感情を知る手掛かりとして使われました。
それぞれの配置や大きさ、顔を描くとか描かないとか、手足の表現など、これも内面の心理が読みとれるのです。
絵を描くこと自体に、芸術療法としての効果があるのでしょう。とても楽しかったです。でも、今回さらに講座を楽しく盛り上げたのは、六甲駅に向かう帰りのバスの中でのひとときでした。
バスでお隣に座っておられた受講生の方は、家族画にも造詣の深いカウンセラーの先生でした。何と私達の絵を、みてくださったのです!
樹木画からは、「ファンタジーですね~」ん?ファンタジー、すなわち現実的でないってこと?・・・あるかも・・・。「感情がとてもよく伸びていて、動物もうまく配置されていますね。適応しているのですから、これでいいですよ~」ん~、地に足をつけるってことも念頭に入れます!
家族画からは、「動きがあっていいですね~。4人を物語の中に入れていますね~」。ここにも、ファンタジーが顔を出しているようでした。私をチャーミングな人だと言ってくださり、子どもっぽい絵を肯定的にみてくださり、うれしかったです。
あっちゃんの家族画は、自家用車に家族が乗っている絵でした。運転は、パパさん。助手席は次男。後ろに、あっちゃんと長男。その乗車位置から次男を思う母親としての心情が表れていると。→「今、次男の就活が気になっています」と、あっちゃん。
よっしんの家族画は、よっしんがパパ先生と長男の後ろから二人の肩に手を置いている絵でした。二人を思う心情が出ていると。→「自立している娘の肩も抱こうかなと思ったけど、そう描かなかった」と、よっしん。なるほど~。
数年前にライフスキルプログラム「なりたいわたし、なれるわたし」をつくるために、木を描いたことがありました。その時は、幹にふし穴(動物も)を描きました。ふし穴の中に動物を描く心理は、「安全な引きこもりの場所の必要を感じている。退行的思考や行為でダメージを補おうとしている」ことだと、今回知りました。そうだったんだ~。
自分の内面の変化をみるために、節目節目に木を描くことを播磨先生は勧めていらっしゃいました。
そうそう、吉田先生は播磨先生のことをヤマンバのようと言われましたが、ぜんぜんヤマンバのイメージはありませんでした。年齢よりずっとお若くみえる知的で優しく笑顔の素敵な方でした。この春、退官されて名誉教授になられたそうですが、10歳以上若く見えました。
来週は、TAT。六甲の紅葉も楽しみです。