西宮ライフスキル研究会

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夙川小学校保健だより「すこやか」より『フューチャーペーシング』について

投稿者:かっしー

 私の保健だよりは表面は児童向け。裏面を「子育てわいわい談話室」と称して、保護者向けに記事を書いています。

保護者向けは主に子育てについて書いていて、みなさん毎回楽しみに読んでくださっているようです。

先日、今津小で講演をした時、一人のお母さんが「先生の保健だよりを今でも大切に保管しています」と教えてくれました。7年も前に書いた保健だよりを大切に持っていてくださることに大変感動しました。

今、夙川小では「子どもの力を引き出すコミュニケーション術」というテーマで特集を組んで書いています。内容はコーチングについてです。それがとても評判がいいので、ブログに転記したいと思います。

コーチングは主に「傾聴」「質問」「承認」の三つのスキルを大切にしています。以前「傾聴」についてはブログに転記しましたので、今日は「質問」について書きます。

「すこやか10月号より」

 前回Part2は「傾聴」について書きました。今回は「質問」についてお話いたします。コーチングの基本的姿勢は「答えは必ず相手の中にある」と信じることです。相手の中にある答えを引き出すために必要なのが「効果的な質問」です。質問には「①相手を理解するため②現状を明確化するため③気付きを得るため④望んでいる方向に進んでいくため」という4つの目的があります。質問には色々な手法がありますが、その中の未来志向の質問(フューチャーペーシング)を使った例として、中2の三者面談後に私が息子に行ったコーチングの1部分をご紹介しましょう。

「あなたが勉強しなくなったのは何が原因だったんだろう」。←「なぜ」とは聴かないのがポイント!!

息子「小学校1年の時、公文で習ってたひらがなを他の子より先にドリルに書いて進めててん。そしたら、先生に“だれがそこまでやれと言った。全部消しなさい”と言われて全部消さされてん。それから勉強なんかやったってこんないやな思いするんならやらへんって思ってん。たぶんそれが原因やと思う」。

「えっ(絶句)。それはつらかったね。その先生のしたことはすごくひどいことだと思うよ。そんなことされたらいやになって当然だね。話してくれてありがとう。もっと早くに聴いてあげてたらよかったね。さて、将来の事考えよう。もし、成績がこのままなら中学卒業した後あなたはどうなってると思う?」

息子「う~ん。高校、行けてへんかな」。

「そうか高校に行けへんと思うねんね。じゃあ。ちょっとイメージしてみよう。イメージの中で今の成績を全教科1点ずつ上げてみて。もし、2が3に、3が4に上がったらどうなってるかな?」

息子「う~ん。○○高校(地域の高校)に行けてるかな」。

「もし1点あがったら○○高校に行けるんだね。すごいね。それであなたの行きたい高校はどこだった?」

息子「△△高校」

「△△高校のゴルフ部で活躍するのが夢だったね。では。もし、成績が2点ずつ上がったらどうなるかな?」

息子「△△高校のゴルフ部に入ってる」。

「そうか。あと2点成績があがると希望の学校に行けるんだね。ではそのためにどうしたらいいと思う?」

息子「あと2点上げられるように勉強する」。

「うんそうだね。2点あげられるよう勉強するといいね。ではまずは何から始めようか?」

息子「そうやなぁ。授業中、まわりが騒がしくて先生の声が聞こえへんから、席を一番前にしてもらうわ」。

「なるほど、いい方法だね。あなたはやればできる子だよ。1度でいいから本気で勉強してごらん・・・」

私は息子に「なぜ勉強しないの?」とは聞かずに「何が原因だったか」を聴きました。これは「未来志向の質問」(フューチャーペーシング)といい、人ではなく事柄に焦点を当てた質問です。「なぜ?」は人を責める言葉です。理由を尋ねるときは「なぜ」ではなく「なに」と聞くのがポイントです。また、相手の思考がストップしかけた時は「もし…だったら」という未来へイメージさせる質問(フューチャーペーシング)も有効です。未来に向かって具体的にイメージさせると、身体はそのイメージ通りに反応することは以前にもお話しました。このように、会話にコーチングを取り入れることで子どもの意欲を引き出すことができるのです。

息子は私のこのフューチャーペーシングでその後の定期試験で200点以上点数をアップさせ、志望校に合格。高校ではゴルフ部と学業とを両立させ、大学へは高校でたった一人の推薦枠に入り合格したのです。

     

 

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